平成27年1月より高額療養費制度が変わります
高額療養費制度といえば、医療費控除とごっちゃになって認識してしまっている方も多い制度ですので、まずは、2つの違いから確認していきましょう。
高額療養費と医療費控除の違い
高額療養費
その月の1日から月末までにかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
一定の金額というのは、自己負担限度額といい、年齢および所得状況等により設定されています。
あらかじめ医療費が高額になることがわかっている場合には、「健康保険限度額適用認定申請書」を提出しておけば、窓口での支払が自己負担限度額までにとどめることができますので、そちらを利用したほうがいいでしょう。
医療費控除
本人または生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度。
医療費控除の対象となる金額の目安として、10万円と言われていますが、正確には、
実際に支払った医療費の合計 – 保険金などの補填金額 – 10万円
です。
簡単に説明しましたが、高額医療費制度は全国健康保険協会(協会けんぽ)が管轄しているもので、医療費控除は国税庁、税務署が管轄しているものです。
金額が大きいのならば、高額医療費制度を利用して、医療費控除も受けられます。
余談ですが、医療費控除は総所得金額等が200万円未満の人は、10万ではなく、総所得金額等5%の金額で計算しますので、医療機関をよく利用する人だけでなく、収入の少ない人もそうでない人も、その年の医療費関係の領収書はすぐには捨てずに年末まで保管しておきましょう。
高額医療費制度が変わる
若干話しがそれてしまいましたが、本題は高額療養費の方です。
高額医療費と言い間違えたり、先に述べましたように、医療費控除とごっちゃになって10万円以上と思っている方も多いでしょう。
今回この高額医療費制度の自己負担限度額が変更になります。
変更になるのは、平成27年1月からですので、もうすぐの話ですね。
変更内容は、既に案内がでているところもあるようですが、私の住む地域の協会けんぽではいまだ案内が掲載されていませんでしたので、広島の協会けんぽ広報より確認します。
今回の改定は、負担能力に応じた負担を求めるようにするために、所得区分が細分化されました。
具体的には、
これまで標準報酬月額が53万円以上と区分されていた上位所得者と区分(A)が、83万以上(ア)、53~79万円(イ)と分けられ、
低所得者と区分(C)されていたものは変更なし(オ)。
ACどちらにも該当しない一般に区分(B)されていたものは、標準報酬月額が28~50万(ウ)と26万以下(エ)に分けられました。
これにより、所得によっては、医療費負担額が増える人もいれば減る人、変わらない人それぞれでてくることになります。
一般に区分されていた方は、ほとんどが負担減になるのではないでしょうか。
役職についているとか、給料が本社と同じ水準で計算されている会社員などの場合には、区分オに該当し、負担額に変更なしという感じになるでしょう。
そして、役員クラスや超大手にお勤めとか、歩合制で毎月515千円以上稼いでいるという上位所得者については、新区分アイどちらでも負担増となっています。
もし手術を控えているが、すぐに施術の必要がないという場合には、今年の方がお得か、来年の方がお得になるのか、確認しておきたいでしょう。
ズバリ、以下のようになっています。
標準報酬月額が53万円以上のならば、今年中に手術。
標準報酬月額が28~50万ならば、どちらでも大丈夫。
標準報酬月額が26万円以下ならば、来年に手術。
と、これだけでも覚えて帰ってください。
一部の障害者と未成年者も負担増
この章に書いてあることは現行制度を未確認のまま書いています
見てもらいたいのは、市区町村民税の非課税者等の平成27年からの注意項目です。
標準報酬月額が区分アイに該当する場合は、市区町村民税の非課税者等であっても区分アイの適用になります。
とあります。
一見、上位所得者なのに、市区挑戦民税(以下:住民税)が非課税である人はいるのか?
と疑問を抱く内容です。
でも上位所得者でも住民税が非課税(免除)になっている人はいます。
それは、障害者と未成年者。
住民税は均等割、所得割と二種類によって計算されています。
どちらも内容的には低所得者の場合には住民税が非課税になるようになっていますが、均等割、所得割共に所得に関係なく免除になっているのが、障害者と未成年者です。 1
未成年の場合、基本的には親の扶養に入っており、社会保険も親の健康保険証であることがほとんどでしょう。
しかし、アルバイトでも学卒就職でも社会保険加入の条件に該当すれば、社会保険に加入しなければなりません。
そのため、高校在学中でも学卒でもむちゃくちゃ稼いでいる未成年者は、平成27年以降、住民税は非課税であっても、その所得に応じた高額医療費の自己負担が発生します。
また、障害者の場合、健常者と同じ程度の所得がある場合には影響ありませんが、むちゃくちゃ稼いでいる場合には、住民税は非課税であっても、その所得に応じた高額医療費の自己負担が発生します。
これは負担能力に応じた負担を求めるようにするためという今回の改定の目的に沿っているものですし、当然のことだと思います。
まとめ
本文では取り上げていませんが、今回の改正は、70歳未満の人限定で、70歳以上75歳未満の人には適用されません。
それでは今回のまとめ。
- 平成27年1月より高額医療費制度が変わる
- 70歳未満の人に今回の改定が適用される
- 区分が増えて、これまでの標準報酬月額53万以上か否かのチェックではなくなる
- 標準報酬月額が53万円以上ならば、負担増
- 標準報酬月額が28~50万ならば、変更なし
- 標準報酬月額が26万円以下ならば、負担減
- 住民税の非課税者等は、基本的に変更なし
- 住民税の非課税者等で、標準報酬月額が53万円以上の場合には負担増
以上のようになっています。
とはいえ、この改正は高額医療費での話ですので、高額になった時だけの話ですので、あまり馴染みのない人にとっては相変わらず馴染みのない制度のままです。
市県民税が課税されない人(高知市) ↩
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