雑が喰おう

通勤手当の非課税額が拡大されました。4月までさかのぼって適用されますよ!

実は平成26年10月20日より通勤手当の非課税幅が拡大されています

そもそも通勤手当に非課税枠があることはもらっていても知らないという人もいるでしょう。

会社もわざわざあなたの通勤手当のいくらまでは非課税ですとは教えてくれないですし、自分の給与明細と同僚の給与明細を見比べても、通勤手当額は一律だったり、違ったりしますし、そもそも給与計算って具体的にどうやるのかわからないし、気づかないですよね。

その通勤手当の非課税部分が平成26年10月20日より拡大されました。

まず、前提条件として通勤手当には非課税部分と課税部分があります。
それは幾つかの条件がありますが、基本的に居住所から勤務地までの距離によって非課税額は変わってきます。

法令改定は突然に

この通勤手当の非課税幅の拡大は、平成26年10月17日発行の官報にて公告がなされました。

そして政令施行は3日後の平成26年10月20日と週末金曜に通達があって、週明け月曜日から施行という間髪入れずの適用でした。

事前に情報があったのかは知りませんが、週明け月曜日の施行日当日に税理士事務所の職員に確認を取ったところ、まだ知らなかったほど。

そして、国税庁のウェブサイトでも未だに法令改定の案内は見受けられません。

ということは、法令改定を知らないまま給与計算を行う会社が出てもおかしくないのではないか?

そんな不安が頭をよぎります。

なので、通勤手当をもらっている方は、給与明細を確認したほうがいいかもしれません。

とはいえ、給与の締日や後述する経過処置の適用にも関係しますので一概には言えませんが、11月分給与からは、源泉所得税が少なくなるはずです。

また、源泉所得税額表では源泉所得税にも幅がありますから、非課税額が拡大されたからと言って、必ずしもみながみな源泉所得税が少なくなるわけではありません

まずは、今回の法令改定でどう変わったのか確認して、どれだけ源泉所得税が少なくなるのか、一緒に確認していきましょう。

政令の内容を確認しよう

この記事を書いている時にはまだ国税庁からの広報は確認できていませんので、所得税法施行令の一部を改正する政令が載っていた平成26年10月17日付の官報で内容を確認します。

平成26年10月17日 金曜日 官報 第6396号

上記リンク先の官報に記載されている、所得税法施行令の一部を改正する政令について書かれてある部分をわかりやすく抜き出して画像ににしました。
カギ括弧の向きがおかしいのは、PDFリーダーの不具合のせいです。

官報平成26年10月17日

引用しますと

所得税法施行令の一部を改正する政令をここに公布する。

御名 御璽

平成二十六年十月十七日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

政令第三百三十八号
所得税法施行令の一部を改正する政令

 内閣は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第九条第一項第五号の規定に基づき、この政令を制定する。

 所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)の一部を次のように改正する。

 第二十条の二第二号中「自転車」を「自動車」に改め、同号イ中「四千百円」を「四千二百円」に改め、同号ロ中「六千五百円」を「七千百円」に改め、同号ハ中「一万千三百円」を「一万二千九百円」に改め、同号ニ中「一万六千百円」を「一万八千七百円」に改め、同号ホ中「二万九百円」を「二万四千四百円」に改め、同号ヘ中「以上」の下に「五十五キロメートル未満」を加え、 「二万四千五百円」を「二万八千円」に改め、同号に次のように加える。

 トその通勤の距離が片道五十五キロメートル以上である場合一月当たり三万千六百円

 第二十条の二第四号中「自転車」を「自動車」に、 「ヘまで」を「トまで」に改める。

附則
(施行期日)
1この政令は、平成二十六年十月二十日から施行する。

(経過措置)
2改正後の所得税法施行令(次項において「新令」という。 )第二十条の二(非課税とされる通勤手当)の規定は、新通勤手当(平成二十六年四月一日以後に受けるべき通勤手当及びこれに類する手当をいい、同日前に受けるべきこれらの手当の差額として追給されるものを除く。同項において同じ。 )について適用し、同日前に受けるべき改正前の所得税法施行令第二十条の二(非課税とされる通勤手当)に規定する通勤手当(同日以後に受けるべき当該通勤手当で同日前に受けるべきものの差額として追給されるものを含む。 )については、なお従前の例による。3新通勤手当でこの政令の施行の日前に受けたものに係る所得税法第四編第二章第一節(給与所得に係る源泉徴収義務及び徴収税額)の規定の適用については、新令第二十条の二及び前項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

財務大臣 麻生太郎
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

とあります。
コピペですが、改行位置とか文字間スペースとか違っているかも。

変更点を確認しよう

それでは、順番に1つずつ確認していきましょう。

用語の変更

第二十条の二第二号中「自転車」を「自動車」に改め

まずはじめに出てくるのは、「自転車」を「自動車」に変更というもの。

自動車
自動車とは原動機の動力によって車輪を回転させ、レールや架線を用いないで路上を走る車。
@デジタル大辞泉
原動機
原動機とは、自然界に存在するエネルギーを、機械的エネルギーに変換する機器の総称。使用するエネルギーの形態により、熱機関・水力機関・風力機関・原子力機関などに分けられる。
@デジタル大辞泉

自転車と原動機付自転車って別物ですよね。
今回の用語改正で、自転車が自動車に変更されたということは、原動機のない自転車では非課税額はなくなるということなのでしょうか?

高松国税局に電話して聞いてみましたところ、以下のように回答を頂きました。

  • 今回、自転車が自動車と変更されたが、自転車も自動車に含まれる
  • 今回変わったのは金額と思ったらいい

とのこと。

そりゃそうか。これまでも自転車とありますが、マイカー通勤でも非課税適用していたのだからいけるか。と電話を切ったあとで思いました。
どうせ、用語改正するのならば、車両とでもしてくれたら紛らわしく感じなかったのに。

非課税額の変更と距離の追加

続いては、肝心の距離と金額の変更について見てみましょう。

同号イ中「四千百円」を「四千二百円」に改め、同号ロ中「六千五百円」を「七千百円」に改め、同号ハ中「一万千三百円」を「一万二千九百円」に改め、同号ニ中「一万六千百円」を「一万八千七百円」に改め、同号ホ中「二万九百円」を「二万四千四百円」に改め、同号ヘ中「以上」の下に「五十五キロメートル未満」を加え、 「二万四千五百円」を「二万八千円」に改め、同号に次のように加える。

 トその通勤の距離が片道五十五キロメートル以上である場合一月当たり三万千六百円

文字だけでみても正直わかりにくい。
本当は国税庁で新旧対照表が公開されるかなと期待していたのですが、未だに法令改定の案内はありませんので、新旧対照表を作成しました。

それがこちら。
もし、誤りがあれば、ツッコミお願いします。

通勤手当の非課税-新旧対照表

用語の変更2

 第二十条の二第四号中「自転車」を「自動車」に、 「ヘまで」を「トまで」に改める。

これは、この前に書かれてある変更にともない変更されたものですね。

施行期日

この政令は、平成二十六年十月二十日から施行する。

そのままです。
この政令はすでに施行されています。

附則・経過措置

一番やっかいなのはこの経過措置という噂もある部分です。

2改正後の所得税法施行令(次項において「新令」という。 )第二十条の二(非課税とされる通勤手当)の規定は、新通勤手当(平成二十六年四月一日以後に受けるべき通勤手当及びこれに類する手当をいい、同日前に受けるべきこれらの手当の差額として追給されるものを除く。同項において同じ。 )について適用し、同日前に受けるべき改正前の所得税法施行令第二十条の二(非課税とされる通勤手当)に規定する通勤手当(同日以後に受けるべき当該通勤手当で同日前に受けるべきものの差額として追給されるものを含む。 )については、なお従前の例による。

3新通勤手当でこの政令の施行の日前に受けたものに係る所得税法第四編第二章第一節(給与所得に係る源泉徴収義務及び徴収税額)の規定の適用については、新令第二十条の二及び前項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

誰かに日本語訳を付けてほしくなりますね!

政令を知らないだけではなく、知っていても、経過処置を読まずに運用しちゃうめんどくさがり屋の担当者さんもいるかもしれませんね!

要約すると、
今回の改正があった所得税法施行令は、平成26年4月1日以後に受けた通勤手当について適用されることが書かれてあります。

つまり、この新令は10月20日施行だけど、さかのぼって平成26年4月1日以降の通勤手当に対して適用されます。

そして、従前の例によるって言ってます。

従前の例って普段はまったく耳にしない言葉ですが、法令や規定の附則とかではよく出てきます。
要するに、以前のままでやるということ。

すでに給与計算も終わって、実際に源泉所得税が引かれて給与をもらっていますよね。
それらに関しては、さかのぼって差額を支給しなくてもいいということです。
会社によってはさかのぼって精算してくれるかもしれませんが、大きな会社にとっては、それだけで計算がめんどくさいですしね。

では、さかのぼって精算されない会社の従業員は泣き寝入りか?
また、すでに退職してしまったけど、どうなるの?
というような疑問が生じます。

もちろん、泣き寝入りではなく、4月1日〜10月19日に関しては年末調整あたりで精算するようになるでしょう。
そして、すでに退職されている方については確定申告で修正することになるでしょう。
たぶんですけどw

この辺りも確認したくて国税庁での広報を待っていたのですが、未だに公開されていません。
もしかしたら、年末調整関係の資料を公開する頃には明記されるものと思われます。

給与明細を確認しよう

法令改定の内容を確認しましたので、実際に例を使って、どれだけ源泉所得税が少なくなるのか見てみましょう。

用意するのは、

  • 給与明細
  • 平成26年分 源泉徴収税額表

ここでは、国税太郎さんの給与明細を例に法令施行前後を見比べて見ます。

ちなみに国税太郎さんは独身男性で扶養親族はなく、自宅から12kmのところにある ホワイト商事 にマイカーで通勤しています。

  • 基本給:198,500円
  • 通勤手当:10,000円
  • その他諸手当なし
  • 健康保険:10,040円
  • 厚生年金:17,474円
  • 雇用保険:1,042円

この条件ですと給与明細では下記のような記載されています。

明細対照表

この給与計算を簡単に説明しますと、基本給+通勤手当で、総支給額③が出ます。
総支給額には通勤手当の非課税額②も含まれていますので、非課税額②を引いたものが、課税額①になります。

課税額①から、社会保険料の小計④を差し引いたものが、課税対象額⑤になります。

課税対象額⑤を源泉徴収税額表で確認しますと

源泉徴収税額表

改定前は3,840円が、改定後は3,770円がそれぞれ太郎さんの給与に対する源泉所得税です。

なんとなくおわかりいただけたでしょうか。

これを自分の場合に当てはめて確認すれば、源泉所得税がどれだけ少なくなったかを確認できます。

給与担当者または会社に確認をとろう

申し上げています通り、通勤距離によってその非課税額は違ってきます。
また公共交通機関のみを利用して通勤している場合もまた違います。
マイカー通勤であっても、公共交通機関を利用した金額で通勤手当が支給されている場合もあるでしょう。

ちゃんと確認するには、その辺りがどうなっているのかを確認する必要がありますから、手っ取り早く確認するには給与担当者に確認するのが確実でしょう。

ちょっと尋ねにくいですけどね。
世間話を装って
「そういえば、通勤手当の非課税額が変わったんですってね。少しでも手取額が増えるのはありがたい話やでぇ」
とそれとなく法令改定があったことを認識しているか確認するのもありでしょう。

今回の法令改定を知らない担当者や会社は多くありそうですので、あなたが損をしないためにも、一度確認することをお勧めします。

もし、改正内容の確認のところでも書きましたが、今回の改正は年内に急に施行されたものですし、その適用範囲が4月までさかのぼって適用されることから、その対応は会社によってまちまちになるでしょう。

とはいえ、上記の様に実際に確認しても、大きな金額が出てくることはそうそうないでしょうし、非課税額が拡大されても、課税対象額が範囲内ならば、源泉徴収税額に変更はないですし。

いずれにせよ、誤りがあれば訂正してもらうべきですし、すぐに年末調整もありますから、その時にはきちんと返してもらいましょう。

それにも間に合わなかったら、確定申告で取り返しましょう!

通勤手当の非課税の件で確定申告するという発想がなかったですけど。
たいていの場合、会社の方で修正するでしょうし、やはり知らないからそのままっていう人やめんどくさいからという人が多そうですな。

まとめ

今回の「所得税法施行令の一部を改正する政令」のまとめです。

  • 用語が「自転車」から「自動車」に変更されたけど特に気にする必要はない(高松国税局談)
  • 通勤手当の非課税額の距離区分が追加された
  • 通勤手当の非課税額が拡大された
  • 非課税額及び距離の詳細は本文中の画像参照
  • 政令施行日は平成26年10月20日
  • 政令は平成26年4月1日までさかのぼって適用される
  • ただし会社はさかのぼって精算しなくてもいい
  • もちろん、さかのぼって精算してもいい
  • おそらく、さかのぼって精算しない会社は年末調整でそれを盛り込んで計算しなければならない
  • 退職者については確定申告する必要があるはず
  • でもまだ年末調整や確定申告等それらに関する発表は一切されていない
  • 今のところ官報でしか告示されていないため、まだ知らない税理士事務所職員や社会保険労務士事務所職員、給与担当者はあなたの隣にもいる可能性がある

国税庁より事務処理方法について案内が公開されました。
【続報】通勤手当の非課税限度額の引上げについての事務処理方法など

参考資料

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