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医師の処方でも医療費控除の対象になるとはかぎらない

医師の処方でも医療費控除の対象外
もし「病院で医師に処方してもらったものは医療費であり、確定申告の際に医療費控除しとして利用できる」という認識でいる場合、改めなければ医療費控除の申請で痛い目にあるかもしれません。

というのも、医師が処方した「処方箋」に記載のものを購入した購入費が医療費控除の対象にならないという判断が国税不服審判所によってくだされた事例があるからです。

国税不服審判所

国税不服審判所とは、国税庁に設置されている特別機関で、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行ないます。

もし、税務署からの更正・決定などの課税処分、差押えなどの滞納処分等に不服があるときは、その処分の取消しや変更を求める不服申立てをすることができます。

また、審査請求に対する国税不服審判所長の裁決があった後の処分に、なお不服があるときは、裁判所に訴えを提起することができます。

事例の処方箋に記載のあったものは、自然医食品でした。

審査請求人の主張

審査請求人の主張はつぎのようなものでした

  • 医師が処方した「処方箋」に記載の自然医食品等を購入するために支払ったものである
  • 所得税法第73条《医療費控除》及び所得税法施行令第207条《医療費の範囲》に規定する医師による診療又は治療の対価に包含されるべきものであり、自然医食品等は、薬事法上の医薬品とみなされるべきであるから、本件自然医食品等購入費はその全額を医療費控除の対象とすべきである
  • 処方した医師は、○○学の世界的権威者で、独自の自然医食療法を診療方針として、諸々の難病の根治を図っている
  • 自然医食療法は、所得税法第73条の医療費控除の対象を現代西洋医学を中心に規定した立法者の意思の予定外のものであるから、日本国憲法第13条の個人の尊重、幸福追求権及び公共の福祉の規定の精神を踏まえて、条理解釈による合理的な解釈をしなければならない
  • 処方した医師の直接処方になるクリニックの「処方せん」に記載された自然医食療法の不可欠の治療手段として自然医食品等を購入したものであるから、薬事法その他の法令等の規定の如何にかかわらず、これを薬事法上の医薬品とみなすべきである

少し難しい言い回しですので、要約すると

  • 受診した医療機関の医師は独自の自然医食療法を診療方針としていた
  • その医師が処方した自然医食品の購入費だから所得税法および施行令に規定する医療費控除に該当する
  • また薬事法でも医薬品とみなされるべきである
  • 自然医食療法は医療費控除を立法した人の予定外のものであるから、日本国憲法の精神を踏まえて条理解釈による合理的な解釈をしなければならない
  • 少なくとも処方した医師のクリニックで購入した自然医食品については、不可欠なものでありこれは医薬品とみなすべきである

うまく要約できたか不安ですが、こんな感じでしょうか。

原処分庁の主張

これに対し、原処分庁は

  • 医療費控除の適用範囲については、所得税法および施行令の規定に則して判断することとなるが、医療費控除の対象となる医薬品は、薬事法第2条《定義》第1項に規定する医薬品をいうものとされている
  • 薬事法第12条《製造業の許可》及び同法第14条《医薬品等の製造の承認》によれば、医薬品の製造には厚生大臣の許可・承認が必要とされており、請求人が主張する自然医食品等はこの条件を満たさないため、同法第2条第1項に規定する医薬品とは認められない

以上のことから自然医食品の購入費は、医療費控除の対象とはならないとして、審査請求人の請求を棄却するよう求めました。

国税不服審判所の判断

これら双方の主張を受けて国税不服審判所がくだした判断は以下のものでした。

  • この件の主たる争点は、自然医食品等の購入費等が医療費控除の対象となる医療費に該当するか否かにある
  • 治療又は療養に必要な医薬品の購入費に当たるかどうかは、当該医薬品が薬事法第2条第1項に規定する医薬品に該当するか否かにより判断するのが相当
  • 原処分庁は自然医食品等が薬事法第2条第1項に規定する医薬品に該当するかどうかを照会したところ、処方した医師らから医薬品に該当しない旨の回答書の提出をそれぞれ受けている
  • 自然医食品等は、薬事法第2条第1項に規定する医薬品に当たらないことは明らかであるから、請求人が、医師の処方による「処方箋」により自然医食品等を購入しこれを服用したとしても、本件自然医食品等購入費を所得税法施行令第207条第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に当たると解することは到底できないというべきである。
  • したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。

つまり、医師が処方したとしても自然医食品は医薬品ではないため医療費控除の対象とならないという判断がされました。

食事療法も医療費ではない

事例では自然医食品でしたが、食事療法でも同じです。

自宅で行う食事療法のための食品の購入費用は、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価には当たりません。

また、医師による診療等を受けるため直接必要な費用にも当たらないので、医療費控除の対象とはなりません。

事例では、審査請求人の主張もあって、自然医食品が医薬品にあたるかの確認もされており回りくどい気がしますが、食事療法の例と同様の判断であったものと思います。

参考リンク

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